Roland Life Mag:ローランド・ライフ・マグ
joshibu
band age
front line
photo collection
gekisoukun

難病をかかえながらも音楽を続ける。
音楽を続けることの意味合いとは。

 わたなべさんは3年ほど前から双極性障害という難病を患っており、現在も治療中なのです。そんな中この取材に協力していただきました。音楽をやることで、病気のリハビリ効果があるのでしょうか?

 「ある、と言いたかったのですがまったくありません。病気と音楽をやることは全然関係ありません。病気で辛いときもいい曲が書けたり、ライブでいい演奏ができたりすることがあります。ただ、ライブなど集中すればするほど体にも脳にも負担がかかります。ライブの後10日くらい寝込むこともありました」

 ではなぜ体に負担があるにも関わらず音楽をやり続けるのでしょうか?

 「音楽をやって集中している時、集中力が上がる瞬間というのはクサイ言い方ですが、『生きている』感じがします。また、音楽をやることでこういう取材を受けたり、YouTubeがきっかけで海外の方と知り合えたりします。自分がアップした映像がきっかけでドイツ人の方と知り合ったのですが、先日の震災の後『日本が危ないようならドイツに来いよ』っていうメッセージをもらいました。こういうつながりは音楽をやっていなかったら作れなかったことです。ことさら『音楽だから』というかぶせ方はしたくはありませんが、やはり音楽をやっているとハッピーになれますよね」

 わたなべさんは、同じような病気で苦しんでいる方がいるようなら、自分の姿を見てもらうことで、何らかのメッセージを発信できれば、とおっしゃってくださいました。


ギター・シンセサイザーへのこだわりは
当然使っているギター本体も
例外ではありません。

 左利きのわたなべさんがメインで使用しているギター。これはいろいろな思い入れの詰まった特注品。世界で一本だけしかないギターです。

 「これはフジゲンで特注しました。昔RolandがGR-300というギター・シンセサイザーを作ったときにフジゲンと共同で作ったギターにG-303というものがありました。これの左利き用が世界に20本ほどあるらしいのですが、20年探しても出会えませんでした。ならば作るしかないと。

で、フジゲンのショップに行ったら、店長がたまたまG-303の開発に携わった方でした。その店長がとても熱心な方で、3カ所の工場のどこかにあるという図面を探し出してくれて、せっかく作るなら303の上位モデルで、スルー・ネックのG-808にした方がいいと言ってくれました。808のほうが音がいいし、サークル・フレットにすればVGのレスポンスもよくなる、などなどのアドバイスももらったんです。僕は僕で、ボディは中心部が盛り上がったアーチド・トップにしたかった。今は木の材質が良くなっているので、アーチド・トップにする必要はないのですが、あの曲線が好きでどうしてもしたかった。それができる職人さんまで探してもらいました。そうやって手に入れた一本です。情熱を持った人に出会えて本当に良かったと思っています」

 さらにわたなべさんは左利き用のスティック(両手で指盤をタッピングして演奏する10弦の弦楽器。ギターとベース両方の音域を出すことができ、右利きモデルも希少)を所有。完成まで2年をかけた、日本に一本だけの特注品!

 「スティックも左利き用のものがどうしても欲しかったので日本の代理店を通じて特注しました。で注文から2年かかってやっと手に入れることができました。これにはGKピックアップを自分で改造して取り付けました。ギターとは弦と弦の間隔が違うので、そのままでは取り付けられません。GKを買ってきて、一回ばらしました。スティックのサイズに合わせて基盤を組み立て直して、プラスティックの樹脂で固めて作りました。もともとスティックには高音弦用と低音弦用の2つのピックアップがあるのですが、演奏中に音が混ざって濁ってしまうので、どうしてもちゃんと音を分離したかったんです。VG-88につなげて使っています」

 2年がかりで手に入れるというその強い意志。そして自分で改造までするという技術、凄すぎます。脱帽です!

わたなべさんが選ぶこの1曲「The New World」by Robert Fripp and The League of Crafty Guitarist:アルバム『LIVE!』(1986)より


ヴァージン・ジャパン
VJCR-2501
「浪人中に友達に聴かせてもらって衝撃を受けました。このアルバムは、この曲以外はアコースティック・ギター・アンサンブルなのですが、この曲だけがフリッパートロニクス(キング・クリムゾンのギタリスト、ロバート・フリップ発案の独自の演奏スタイル。オープンリールやエフェクターを駆使した幻想的なサウンド)によるものです。ギター一本で何でこんなことができるの?と、もの凄く刺激を受けた1曲です」